第 18 章
連結財務セクション($$c):横断面データ($c)・入力変量リスト($l)
クロスセクション変量作成パラメータ 《2000.8.25修正》
書式($c in $$c)例1
書式($c in $$c)例2
書式($c in $$c)例3
書式($c in $$c)例3の出力結果
書式($c in $$c)例4
書式($c in $$c)例4の出力結果
この章では、『一般事業会社・連結決算データ』の連結財務データから,クロスセクション変量を作成するコマンドやパラメータを説明する.企業ごとの,あるいは産業ごとの時系列データを作成する.
なお連結財務セクションは,第15章で述べているように「$$c」で開始される.
本ページの書式例参照プログラムはWeb版xcampusの場合は各大学のWeb版xcampusの『xcampus構文解説』書式例として収録され,クリック1つですぐに実行できる.Windows版の場合は,xcampusの[ファイル]メニューの[開く]をクリックして,xcampusの見本プログラム群の[rffmtprg]フォルダに収録されている.Linux版xcampusの場合は,コマンド xccp を入力することによってプログラム一覧が表示される.また書式例の説明は,拙稿「連結財務分析の可能な経済経営教育研究システム」(神戸商科大学経済研究所年報第28号,1998年3月)を参照されたい.
フラグ作成コマンド($f)で絞り込まれた企業ないしは企業群を対象に,クロスセクション・データの変量を作成する.そのための1形式のコマンドと1形式のパラメータが用意されている.
クロスセクション(cross-section)作成コマンドは次の形式をとる.
1゜
$c☆ |
クロスセクション変量を作成するためのパラメータは,上述の「$c」コマンドに続いて,次の形式で記述する.
クロスセクション変量作成パラメータ 《2000.8.25修正》
書式($c in $$c)例1
書式($c in $$c)例2
書式($c in $$c)例3
書式($c in $$c)例3の出力結果
書式($c in $$c)例4
書式($c in $$c)例4の出力結果
1゜ 2゜ 3゜ 4゜ 5゜
■■■☆◎◎◎◎,<◇>,変量名 |
=============== c-r-f2 ================== |
============== c-f-f5 =========================== ========== 連結決算企業 外部フラグ#1 $$c //連結財務データセクション $r //期間限定 0004,0103 //★2000年4月から2001年3月までの2000年度に限定 $f //フラグ・コマンド <a>==..(7103)05041,05042 //★業種選択 <a>=w#1 //外部フラグ#1書き込み ========== 単独決算企業 外部フラグ#1 $$b //ビジネス財務(単独決算)データセクション $r //期間限定コマンド 0004,0103 //★2000年4月から2001年3月までの2000年度に限定 $f //フラグ・コマンド <b>==..(7103)05041,05042 //★業種選択 <e>=r#1 // 外部フラグ#1(連結決算企業)読み込み <g>=:*.(b,e) // 単独決算と連結決算の共通企業 <g>=w#1 // 共通企業の外部フラグ#1 書き込み ============ 連結決算データ入力 ===== $$c //連結財務データセクション $r //期間限定コマンド 0004,0103 //★2000年4月から2001年3月までの2000年度に限定 $f //フラグ・コマンド <g>=r#1 // 共通企業の外部フラグ#1 読み込み $n //企業名コマンド lst,<g> :n1,<g>,$$c :n2,<g>,$$c :n3,<g>,$$c $c //クロスセクション・コマンド flw,3058,<g>,$$c net profit //連結当期利益 stk,2125,<g>,$$c shareholders' equity //連結株主資本(資本合計) stk,2144,<g>,$$c total assets //連結総資本(負債・少数株主持分・資本合計) ====== $$v //変量分析セクション $a //変量記号割当コマンド n,:n1,<g>,$$c a,:n2,<g>,$$c m,:n3,<g>,$$c r,$$c net profit e,$$c shareholders' equity k,$$c total assets ================ 単独決算データ入力 ====== $$b //ビジネス財務(単独決算)データセクション $r //期間限定コマンド 0004,0103 //★2000年4月から2001年3月までの2000年度に限定 $f //フラグ・コマンド <g>=r#1 // 共通企業の外部フラグ#1 読み込み $n //企業名コマンド lst,<g> :n1,<g>,$$b :n2,<g>,$$b :n3,<g>,$$b $c //クロスセクション・コマンド flw,3058,<g>,$$b net profit //単独当期利益 stk,2125,<g>,$$b shareholders' equity //単独株主資本(資本合計) stk,2144,<g>,$$b total assets //単独総資本(負債・資本合計) ====== $$v //変量分析セクション $a //変量記号割当 N,:n1,<g>,$$b A,:n2,<g>,$$b M,:n3,<g>,$$b R,$$b net profit E,$$b shareholders' equity K,$$b total assets ============ 連結決算と単独決算の比較分析[以下省略] |
<連結決算:1996年度のパルプ・紙各社の連結EBITDAのクロスセクション>
連結財務データからクロスセクション変量を作成する書式例で,内容としては連結EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)を計測する.簡便法でEBITDAを求めることにしよう.連結営業利益に連結減価償却費を加えて求めることにする.============= c-c-f3.txt ====================== $$c // 連結財務データセクション $r // 期間限定コマンド 9604,9703 //★1996年4月から1997年3月 $f //処理対象企業フラグコマンド <q>==..(7103)05041,05042 //★業種がパルプ・紙にフラグq <L>==..(5011)-999999999 // 連結減価償却実施額(項番5011)が欠落値(-999999999)の企業にフラグL <g>=:-.(q,L) // フラグqからフラグLの企業群を除いた企業群にフラグg <m>=:*.(q,L) // フラグqとフラグLの共通集合の企業群にフラグm $n // 企業名コマンド lst,<g> // フラグg(分析対象となる)企業一覧出力 lst,<m> // フラグm(分析から外れた)企業一覧出力 :n1,<g> // フラグgの企業名の最初の漢字2文字 :n2,<g> // フラグgの企業名の次の漢字2文字 :n3,<g> // フラグgの企業名のその次の漢字2文字 $p // 原数値プリントコマンド .... 【新項番3001】 売上高・営業収益 .... 【新項番3006】 営業利益 .... 【新項番5011】 減価償却実施額 .... 【新項番3058】 当期利益 .... 【新項番3016】 支払利息・割引料 .... 【新項番3052】 法人税・住民税及び事業税合計 .... 【新項番5056】 従業員数(単位:人) .... 【新項番1023】 SEC基準の採用フラグ <g>,3001,3006,5011,3058,3016,3052,5056,1023 $c // クロスセクション作成コマンド flw,3001,<g>,sales // 連結売上高 flw,3006,<g>,operating profit // 連結営業利益 flw,5011,<g>,depreciation // 連結減価償却実施額 ============== 変量分析セクション $$v $a // 変量記号割当コマンド n,:n1,<g> a,:n2,<g> m,:n3,<g> s,sales // 連結売上高 r,operating profit // 連結営業利益 d,depreciation // 連結減価償却実施額 $d // 表示範囲指示コマンド all // 全範囲 $t // 変数変換コマンド e=(r+d) // EBITDA x=(e/s*100) // 連結売上高EBITDA比率 P=:ci(x) // 散布点識別文字変量 △=pr*(n,a,m,s,e,x,P) // 数値プリント(△は半角スペース) △=pr*(n,a,m,e,r,d) //数値プリント(△は半角スペース) ........ 関数log(x)=-log(s)+log(c)+log100=[-1,1,log100][log(s),log(c),1]' F=(-1,1,log100) // の係数ベクトル[-1,1,log100] ============== グラフセクション $$g $d // 表示範囲指示コマンド all // 全範囲 $p // プロットコマンド x,s // 連結売上高EBITDA比率xと連結売上高sを別スケール erd // 連結のEBITDAe,営業利益r,減価償却実施額dを同一スケール $c // 散布(相関)図コマンド e,s,*,P // 縦軸e,横軸s,回帰線*,印字変量P $3 // 3次元図コマンド x*s*e*P,F,* // 縦軸x(対数*),横軸s(対数*),奥行軸e(対数*),印字P,関数F,重ね合せ用保存* x,s,e,P,* // 縦軸x,横軸s,奥行軸e,印字P,重ね合せ用保存* △△△△△△△△ // 重ね合せ図(△は半角スペース) ============== 終了セクション $$ |
書式($c in $$c)例2の旧プログラム・テキスト参照[c-c-f3-old.txt]
クロスセクション作成情報
クロスセクション・データのプリント
パルプ・紙業界1996年度の連結クロスセクションのExcelグラフ
s | e | x | P | ||
sales | e=(r+d) | x=(e/s*100) | :ci,P=:ci(x) | ||
1 | 東海パルプ | 56203 | 6370 | 11.33 | a |
2 | 王子製紙 | 1133200 | 136953 | 12.09 | b |
3 | 日本製紙 | 1093344 | 116915 | 10.69 | c |
4 | 三菱製紙 | 227751 | 28368 | 12.46 | d |
5 | 北越製紙 | 127744 | 22021 | 17.24 | e |
6 | 高崎三興 | 36249 | 3529 | 9.74 | f |
7 | 日本板紙 | 59960 | 5169 | 8.62 | g |
8 | 日本加工製紙 | 69168 | 5248 | 7.59 | h |
9 | 大昭和製紙 | 380990 | 66005 | 17.32 | i |
10 | 三島製紙 | 19750 | 1150 | 5.82 | j |
11 | 巴川製紙所 | 40432 | 3442 | 8.51 | k |
12 | 紀州製紙 | 69607 | 7531 | 10.82 | l |
13 | セッツ | 143816 | 9747 | 6.78 | m |
14 | 三興製紙 | 39355 | 4065 | 10.33 | n |
15 | 大平製紙 | 8342 | 209 | 2.51 | o |
16 | レンゴー | 291718 | 24784 | 8.5 | p |
17 | 古林紙工 | 16027 | 1042 | 6.5 | q |
18 | スーパーバッ | 39646 | 871 | 2.2 | r |
19 | ゼネラル | 16868 | 1429 | 8.47 | s |
20 | 大日本紙業 | 19655 | 1253 | 6.37 | t |
21 | 大石産業 | 26080 | 2155 | 8.26 | u |
22 | 東洋ファイバ | 2962 | 28 | 0.95 | v |
23 | ザ・パック | 64421 | 4068 | 6.31 | w |
24 | 日本ハイパッ | 24942 | 1592 | 6.38 | x |
二大メーカーの王子製紙(1996年10月に新王子製紙と本州製紙が合併),日本製紙(1993年4月に十条製紙と山陽国策パルプが合併)の1996年度の連結売上高xは1兆円を超えており,連結EBITDAは1000億円を超えている.連結売上高EBITDA比率xは共に10%を超えている.連結売上高EBITDA比率xが高い企業は,北越製紙と大昭和製紙の17%である.北越製紙は上質紙,白板紙,特殊紙が主力で需要が堅調に推移し,増産効果もあって収益が上がり,売上高EBITDA比率が高い.大昭和製紙は,連結EBITDAの内訳から分かるように,1996年度に新設備が稼働したことによって減価償却費が増大している.連結売上高EBITDA比率xが6.8%と低いセッツは,財テク失敗の関連2社への貸倒れ引当金計上などによる特別損失が膨らみ,連結当期利益が赤字になっている. セッツは1998年10月にレンゴーに事実上吸収合併されることになった.
<連結決算:1996年度の化合繊・綿紡績各社の連結売上高前年増減率・連結子会社数のクロスセクション>
連結財務データからクロスセクション変量を当該年だけではなく前年分を併せて作成する書式例で,連結売上高の前年比増減率を計測する.============= c-c-f4 ==================== $$c // 連結財務データセクション $f // 処理対象企業フラグコマンド <g>==..(7103)03021,03022 //★業種が繊維の化合繊・綿紡績にフラグg $n // 企業名コマンド lst,<g> // フラグgの企業一覧出力 :n1,<g> // フラグgの企業名の最初の漢字2文字 :n2,<g> // フラグgの企業名の次の漢字2文字 :n3,<g> // フラグgの企業名のその次の漢字2文字 $p // 原数値プリントコマンド .... 【新項番3001】 売上高・営業収益 .... 【新項番3052】 法人税・住民税及び事業税合計 .... 【新項番3053】 法人税等調整額 .... 【新項番1036】 税効果会計の採用フラグ(2000年3月期以降収録中止) .... 【新項番3058】 当期利益 .... 【新項番5056】 従業員数(単位:人) .... 【新項番1026】 連結子会社数(単位:社) .... 【新項番1027】 (うち上場会社数)(単位:社) .... 【新項番1030】 持分法適用の非連結子会社・関連会社数(単位:社) .... 【新項番1031】 持分法非適用の非連結子会社・関連会社数(単位:社) <g>,3001,3052,3053,1036,3058,5056,1026,1027,1030,1031 $r // 期間限定コマンド 9604,9703 //★1996年4月から1997年3月 $c // クロスセクション作成コマンド flw,3001,<g>,sales // 連結売上高 f-1,3001,<g>,sales(-1) // 前年連結売上高 stk,1026,<g>,subsidiaries // 連結子会社数 s-1,1026,<g>,subsidiaries(-1) // 前年連結子会社数 ============== 変量分析セクション $$v $a // 変量記号割当コマンド n,:n1,<g> a,:n2,<g> m,:n3,<g> s,sales // 連結売上高 S,sales(-1) // 前年連結売上高 u,subsidiaries // 連結子会社数 U,subsidiaries(-1) // 前年連結子会社数 $d // 表示範囲指示コマンド all // 全範囲 $t // 変数変換コマンド x=(s-S)/S*100 // 連結売上高前年比増減率 P=:ci(s) // 散布点識別文字変量 △=pr*(n,a,m,S,s,U,u,x,P) // 数値プリント(△は半角スペース) $r // 回帰コマンド F,@"*,S=(U) // 回帰係数ベクトルF <前年> f,@"*,s=(u) // 回帰係数ベクトルf <当年> ============== グラフセクション $$g $d // 表示範囲指示コマンド all // 全範囲 $p // プロットコマンド x,Ss // 連結売上高前年比増減率xと,別スケールで前年連結売上高S,当年連結売上高s Uu // 前年連結子会社数U,当年連結子会社数uを同一スケール $c // 散布(相関)図コマンド s,S,*,P // 縦軸s,横軸S,回帰線*,印字変量P u,U,*,P // 縦軸u,横軸U,回帰線*,印字変量P S,U,*,P // 縦軸S,横軸U,回帰線*,印字変量P <前年> s,u,*,P // 縦軸s,横軸u,回帰線*,印字変量P <当年> $3 //3次元図コマンド (以下で△は半角スペース) S,U,△ ,P,F,* // 縦軸S,横軸U,奥行軸△,印字P,関数F,重ね合せ用保存* <前年> s,u,△ ,P,f,* // 縦軸s,横軸u,奥行軸△,印字P,関数f,重ね合せ用保存* <当年> △△△△△△△△△ // 重ね合せ図 ============== 終了セクション $$ |
書式($c in $$c)例2の旧プログラム・テキスト参照[c-c-f4-old.txt]
他のセクションの入力変量も含めて,これまでに入力された全変量名のリストを,[数値リスト]に出力する.1種類のコマンドのみでパラメータは不要である.
入力変量リスト(list)コマンドは次の形式をとる.
$l |
なし
財務データから時系列変量を作成する書式($t in $$c)例2 の前半部分の再掲である.リスト出力部分($l)は連結財務セクション($$c)の最後の行のようになる.出力結果は,ビジネス財務($$b)セクションのリスト出力($l)と同様であるので,先述の書式($c in $$b)例2の入力変量リスト をみられたい.
============== c-t-f2 ================================= $$c //連結財務データセクション $f // 処理対象企業フラグコマンド <g>==..(7103)41401,41402 //★業種が大手建設と中堅建設にフラグg $n // 企業名コマンド lst,<g> // フラグgの企業のリスト出力 $p // 原数値プリントコマンド .... 【新項番3001】 売上高・営業収益 .... 【新項番3002】 売上原価・営業原価 .... 【新項番2144】 負債・少数株主持分・資本合計、単独:負債・資本合計 .... 【新項番3006】 営業利益 .... 【新項番3008】 受取利息・割引料・有価証券利息 .... 【新項番3009】 受取配当金 .... 【新項番3016】 支払利息・割引料 .... 【新項番3058】 当期利益 .... 【新項番5056】 従業員数(単位:人) .... 【新項番1026】 連結子会社数(単位:社) <g>,3001,3002,2144,3006,3008,3009,3016,3058,5056,1026 // 項番指示 △△△△△△△△△△ // 追加プリント(30社ごとにブランク行を追加挿入) $r // 期間限定コマンド 8504,0103 //★1985年4月から2001年3月 $t // 時系列作成コマンド &fl,3001,<g>,sales // 連結売上高 &fl,3002,<g>,cost of goods sold // 連結売上原価 &st,2144,<g>,total liability & net worth // 連結総資本 $l // 入力変量名リストコマンド =============== 変量分析セクション |