第 6 章
変量分析セクション($$v):変量割当($a)・表示範囲($d)・データプリント($p)・変量記号リスト($l)
書式($a in $$v)例1
書式($a in $$v)例1の出力結果
書式($a in $$v)例2
書式($a in $$v)例3
NEEDSのマクロ経済データ,ビジネス財務データ,連結財務データあるいはユーザ自身が持っているユーザ・データが($$n,$$b,$$c,$$u)の各セクションを経て,すでにxcampus内部に入力されているとしよう.これらの入力済み変量に1文字の変量記号を割り当てたり,種々の変数変換を行ったり,回帰分析をしたり,データをプリントしたりするのが,この変量分析セクションの機能である.
この章では,これらの諸機能のうち,変量記号の割当て($a),データ表示範囲の指示($d),データのプリント出力($p),変量記号リスト($l)について,関連コマンドやパラメータを説明する.
本ページの書式例参照プログラムはWeb版xcampusの場合は各大学のWeb版のプログラム事例として収録され,クリック1つですぐに実行できる.Windows版の場合は,xcampusの[ファイル]メニューの[開く]をクリックして,xcampusの見本プログラム群の[RFfmtPRG]フォルダに収録されている.UNIX版xcampusの場合は,コマンド xccp を入力することによってプログラム一覧が表示される.
変量分析セクションはで開始される.
$$v |
日本経済データ($$n),ビジネス財務データ($$b),連結財務データ($$c)あるいはユーザ・データ($$u)の各セクションで入力された変量のうちで,分析したり,グラフを描いたりする変量に1文字の変量記号を割り当てる.変量記号は互いに異なっていなければならない.変量記号を1文字に限定することは,プログラムの簡素化を促し,分析者の把握できる範囲に的を絞って探索的に選択・分析・表示するというxcampusの目的に沿うものと考えている.
変量記号の割当には1形式のコマンドと,それを具体化する3形式のパラメータが用意されているが,本ガイドには1形式のパラメータのみ紹介する.
変量記号割当(assign)コマンドは次の形式をとる.
$a☆ |
入力変量に変量記号を割り当てるパラメータは,上述の「$a」コマンドに続いて,3タイプの形式で記述するが,本ガイドでは1タイプのパラメータのみ紹介する.
書式($a in $$v)例1
書式($a in $$v)例1の出力結果
書式($a in $$v)例2
書式($a in $$v)例3
1゜ 2゜
□,変量名 |
<マクロ:民間最終消費支出と百貨店販売額>
日本経済データセクションの書式($r in $$n)例の続きのプログラムである.時系列入力コマンドで,季節調整済で年率換算の名目民間最終消費支出の四半期系列と,百貨店の販売額の月次系列を入力している.
変量分析セクション($$v)の変量記号割当($a)コマンドで,これらの系列に各1文字の変量記号x,yを割り当てている.変数変換($t)コマンドで,月次の百貨店販売額xを3ヶ月ごとに合計して4半期系列に直し,また個体識別文字系列を作成して変量記号をPとしている.直前に表示範囲コマンド($d)で全ケース(期間)を指示しているので,プリント「pr*」オペランドでの変量記号x,yの数値データは全範囲が出力される.
$$n //日本経済セクション $r //期間限定コマンド 8001,9999 //1980年1月から最近時点まで $t //時系列入力コマンド CP@,consumption //民間最終消費支出(季調値,年率換算値)(MTコード100360) SDS,department sales //百貨店販売額 (MTコード88011) $l //入力変量リスト ============ コメント行 $$v //変量分析セクション $a //変量記号割当コマンド x,department sales //百貨店販売額に x の変量記号 y,consumption //民間最終消費支出に y の変量記号 $d //表示範囲コマンド all //全ケース(期間) $t //変数変換コマンド x=&.s(x)4,1 //[&.s]データ編集(合計)[4,1]四半期へ,1月始点 P=:ci(x) //個体識別文字列作成 △=pr*(x,y) //プリント(△はスペース1文字) ================ コメント行 $$g //グラフセクション $d //表示範囲コマンド all //全ケース(期間) $p //プロットコマンド x,y //変量xと変量yを別スケールで $c //散布図コマンド y,x,*,P //縦軸y,横軸x,回帰線*,散布点印字P ================== コメント行 $$ //終了セクション |
書式($a in $$v)例1のプログラム参照[v-a-f1.txt]
x |
y | |
x=&.s(x)4,1 | consumption | |
1980. 1 | 1399384 | 129794 |
1980. 2 | 1462111 | 133465 |
1980. 3 | 1546750 | 135563 |
1980. 4 | 2093009 | 137109 |
1981. 1 | 1488611 | 138902 |
1981. 2 | 1563289 | 140309 |
1981. 3 | 1660740 | 142931 |
1981. 4 | 2216629 | 145582 |
途中省略 | ||
2000. 1 | 2422280 | 289855 |
2000. 2 | 2347928 | 288892 |
2000. 3 | 2355119 | 284911 |
2000. 4 | 2886133 | 285371 |
2001. 1 | 2310539 | 288213 |
2001. 2 | 2277422 | 285064 |
2001. 3 | 2273018 | 280041 |
2001. 4 | 2765152 | 282908 |
2002. 1 | 2261610 | 285365 |
2002. 2 | 2222814 | #N/A |
財務データからクロスセクション変量を作成し,散布図によるクロスセクション分析を行う書式($c in $$b)例1
の再掲である.また書式($n in $$b)例2 と業種選択を除いて同一である.分析時点を限定し,その間に収録されている医薬品業の企業にフラグ
g を立てる.フラグ g の企業群のリストを出力するとともに,企業名の最初の漢字6文字分として3つの企業名変量を作成する.次に,この医薬品業の売上高と売上原価,長期借入金のクロスセクション系列を作成する.
ビジネス財務セクション($$b)で入力した企業名変量,クロスセクション変量に,変量分析セクション($$v)の変量記号割当($a)コマンドで各1文字の変量記号を割り当てる.
=================== b-c-f1
============================ $$b //ビジネス財務セクション $r //期間限定コマンド 0004,0103 //2000年4月から2001年3月までの2000年度を対象 $f //フラグ作成コマンド <g>==..(7103)09081,09082,09083 //医薬品業にフラグg $n //企業名コマンド lst,<g> //パラメータ(リスト出力) :n1,<g> //企業名の最初の漢字2文字変量 :n2,<g> //企業名の次の漢字2文字変量 :n3,<g> //企業名のその次の漢字2文字変量 $c //クロスセクション作成コマンド flw,3001,<g>,sales //売上高 flw,3002,<g>,cost of goods sold //売上原価 stk*2101,<g>,long-term loans //長期借入金(4カラム*は欠落値ゼロ置換) $l //入力変量名リストコマンド =============== $$v //変量分析セクション $a //変量記号割当コマンド N,:n1,<g> A,:n2,<g> M,:n3,<g> x,sales y,cost of goods sold z,long-term loans $t //変数変換コマンド r=(y/x*100) //売上高原価比率 d=(z/x*100) //長期借入金売上高比率 P=:ci(x) //個体(企業)識別文字系列 △=pr*(N,A,M,x,y,z,r,d,P) //数値プリント(△はスペース1文字) |
財務(単独決算)データから時系列変量を作成し,時系列分析を行う書式例である.書式($t in $$b)例1の再掲である.時系列の期間を限定し,その間に収録されている大手建設業の企業にフラグ
g を立て,フラグ g の企業群の一覧を出力する.次に,この大手建設業の売上高(新項番3001,旧番090)と売上原価(新項番3002,旧項番091),総資本(負債・資本合計,新項番2144,旧項番089)の集計値の時系列,正確には年率換算の月次の補間値系列の3変量を作成する.
変量分析セクション($$v)では,変量記号割当($a)コマンドでこれらの3系列に各1文字の変量記号を割り当て,変数変換コマンド($t)のところで,月次系列を年度系列に編集し,売上高原価率と総資本回転率の2つの比率を求めている.
=================== b-t-f1
============================ $$b //ビジネス財務セクション $r //期間限定コマンド 6510,0103 //★1965年10月から2001年3月 $f //フラグ作成コマンド <g>==..(7103)41401 //★大手建設にフラグg $n //企業名コマンド lst,<g> //企業名パラメータ(リスト出力) $t //時系列作成コマンド &fl,3001,<g>,sales //売上高 &fl,3002,<g>,cost of goods sold //売上原価 &st,2144,<g>,total liability & net worth //総資本 $l //入力変量名リストコマンド =============== $$v //変量分析セクション $a //変量記号割当コマンド x,sales y,cost of goods sold z,total liability & net worth $t //変数変換コマンド x=&.a(x)1,4 //月次を年度(4月〜翌年3月)に編集 y=&.a(y)1,4 // 2月期決算の多い業種では「1,4」を「1,3」に変更 z=&.a(z)1,4 r=(y/x*100) //売上高原価率 u=(x/z) //総資本回転率 △=pr*(x,y,z,r,u) //数値プリント(△は半角スペース) P=:ci(x) //個体(年度)識別文字系列 |
変量分析($$v)セクションにおいてデータ・プリントは次の方法で可能である.変数変換($t)コマンドの「pr*」や「prt」オペランドによる方法,回帰($r)コマンドの「pr*」や「prt」オペランドによる方法,プリント($p)コマンドによる方法である.
これらのデータ・プリントの出力には,コンピュータ資源(ディスク,時間,用紙)の節約のため次のような制限を設けている.つまり,直前に表示範囲指定コマンドがないとき,自動的に,時系列の場合は最後の100期だけ,クロスセクションの場合は最初の100ケースだけの表示に制限されるのである.以下では,その表示制限を変更する方法を説明する.
表示範囲の変更には,1種類のコマンドと4種類のパラメータが用意されているが,本ガイドでは1種類のパラメータだけを説明する.
プリントの表示範囲の変更は,データ・プリントを行う各コマンドの直前に,表示範囲指定コマンドとそのパラメータを挿入しなければならない.その直後の1コマンド内のデータ・プリントに対して,その表示範囲指定は有効である.
表示範囲指定(display)コマンドは次の形式をとる.
$d |
表示範囲指定のパラメータは,上述の「$d」コマンドに続いて,4タイプの形式で記述するが,本ガイドではそのうちの1タイプのパラメータのみ紹介する.
all |
上述の書式($a in $$v)例1
のプログラムの再掲で,関連個所のみ記載している.時系列入力コマンドで,季節調整済で年率換算の名目民間最終消費支出の四半期系列と,百貨店の販売額の月次系列を入力している.
変量分析セクション($$v)の変量記号割当($a)コマンドで,これらの系列に各1文字の変量記号x,yを割り当てている.変数変換($t)コマンドで,月次の百貨店販売額xを3ヶ月ごとに合計して4半期系列に直し,また個体識別文字系列を作成して変量記号をPとしている.変数変換($t)コマンドの直前の表示範囲コマンド($d)で全ケース(期間)を指示し,プリント「pr*」オペランドのところで,変量記号を並べてxとyの数値データを出力している.全範囲のプリント出力結果については,書式($a in $$v)例1の数値データのプリント を参照されたい.
$$v //変量分析セクション $a //変量記号割当コマンド x,department sales //百貨店販売額に x の変量記号 y,consumption //民間最終消費支出に y の変量記号 $d //表示範囲コマンド all //全ケース(期間) $t //変数変換コマンド x=&.s(x)4,1 //[&.s]データ編集(合計)[4,1]四半期へ,1月始点 P=:ci(x) //個体識別文字列作成 △=pr*(x,y) //プリント(△は1文字の空白) |
書式($c in
$$b)例2 のプログラムの再掲で,関連個所のみ記載している.財務データから複数時点のクロスセクション変量を作成して,縦断的データの表を作成している.兵庫県に本店がある企業の従業員数のクロスセクション・データを,1990年度以降の毎年度ごとに求め,表を作成している.
期間を1990年度〜1995年度に限定して,その間に収録されている兵庫県が本店の企業にフラグ
g を立てる.次に,これらの兵庫が本店の企業の企業名の4文字ずつのクロスセクション変量と株式コード(項番363)のクロスセクション系列を作成する.次に,1990年以降の各年度ごとに期間を限定して,従業員数(項番158でストックデータ)のクロスセクション系列を作成している.
変量分析セクション($$v)で,これらの諸系列に各1文字の変量記号を割り当て,出力範囲コマンド($d)で全ケースを指示する.変数変換コマンド($t)のプリント・パラメータ「△=pr*」で,順番に変量記号を並べて目的の縦断的データの表を出力する.
全範囲のプリント出力結果については,書式($c
in $$b)例2の変数変換($t)コマンドの「pr*」オぺランドによる数値データ出力を参照されたい.
$$v //変量分析セクション $a //変量記号割当コマンド N,:n1,<g> A,:n2,<g> M,:n3,<g> x,code a,employee 90 b,employee 91 c,employee 92 d,employee 93 e,employee 94 f,employee 95 $d //出力範囲コマンド all //全ケース $t //変数変換コマンド △=pr*(N,A,M,x,a,b,c,d,e,f) //数値プリント(△は1文字のスペース) |
変量分析($$v)セクションにおいてデータ・プリントは次の方法で可能である.変数変換($t)コマンドの「pr*」や「prt」オペランドによる方法,回帰($r)コマンドの「pr*」や「prt」オペランドによる方法,プリント($p)コマンドによる方法である.汎用機版やUNIX版xcampusでは,主としてプリント($p)コマンドでデータ・プリントを行っていたが,Web版xcampusやWindows95/NT版xcampusではExcelの表計算への出力機能の点で,主力は変数変換($t)コマンドや回帰($r)コマンドの「pr*」や「prt」オペランドによる方法に移っている.
xcampusの従前のプログラムとの継続性の観点から,プリント($p)コマンドについて説明しておく.
変量記号の割り当てられた諸変量についてデータのプリントを行うための1形式のコマンドと1形式のパラメータが用意されている.
$p |
データ・プリントのパラメータは,上述の「$p」コマンドに続いて,次の形式で記述する.
1゜
□□□□□…… |
上述の書式($a in $$v)例1
のプログラムのデータ・プリント部分を,プリント($p)コマンドで記述し直している.
変量分析セクション($$v)の変量記号割当($a)コマンドで,各1文字の変量記号x,yを割り当てている.変数変換($t)コマンドで,月次の百貨店販売額xを3ヶ月ごとに合計して4半期系列に直し,また個体識別文字系列を作成して変量記号をPとしている.表示範囲コマンド($d)で全ケース(期間)を指示し,プリント($p)コマンドのパラメータに変量記号xとyを並べてデータを出力している.プリント出力結果は2変量なのでページ替えもなく,書式($a in $$v)例1の数値データのプリント とほぼ同じである.
$$v //変量分析セクション $a //変量記号割当コマンド x,department sales //百貨店販売額に x の変量記号 y,consumption //民間最終消費支出に y の変量記号 $t//変数変換コマンド x=&.s(x)4,1 //[&.s]データ編集(合計)[4,1]四半期へ,1月始点 P=:ci(x) //個体識別文字列作成 $d //表示範囲コマンド all //全ケース(期間) $p //プリントコマンド xy //変量x,y |
変量分析($$v)セクションにおいて変量記号の割り当てられた全変量のリストを,[数値リスト]に出力する.1種類のコマンドのみでパラメータは不要である.多数の変量記号の割当がなされたり,プログラムのチェックの際に,変量記号リストは有用になる.
入力変量リスト(list)コマンドは次の形式をとる.
$l |
パラメータなし
上述の書式($a in $$v)例3
(書式($t
in $$b)例1の再掲)のプログラムに,変量記号のリスト出力($l)コマンドを追加している.
変量分析セクション($$v)では,変量記号割当($a)コマンドで,大手建設業の売上高と売上原価,総資本(負債・資本合計)の3時系列に各1文字の変量記号x,y,zを割り当て,変数変換コマンド($t)のところで,月次系列を年度系列に編集し,売上高原価率rと総資本回転率uの2つの比率を求め,個体識別文字系列Pを作成している.これらの変量記号x,y,z,r,u,Pのリストを「$l」コマンドで出力している.
$$v //変量分析セクション $a //変量記号割当コマンド x,sales y,cost of sales z,total liability & net worth $t //変数変換コマンド x=&.a(x)1,4 //月次を年度(4月〜翌年3月)に編集 y=&.a(y)1,4 z=&.a(z)1,4 r=(y/x*100) //売上高原価率 u=(x/z) //総資本回転率 △=pr*(x,y,z,r,u) //数値プリント(△はスペース1文字) P=:ci(x) //個体(年度)識別文字系列 $l //変量記号リスト・コマンド |