第 12章
グラフセクション($$g):プロット($p)・表示範囲($d)・ゼロ軸($z)
書式($p in $$g)例1
書式($p in $$g)例1の出力結果
書式($p in $$g)例2
書式($p in $$g)例2の出力結果
変量分析セクション($$v)内で変量記号を割り当てられたり,種々の変数変換や回帰分析の過程で作成された諸変量を対象に,グラフを描くセクションである.グラフの種類としては,プロット,散布図,3次元図を用意している.散布図や3次元図は次章以降で詳述する.本章では,プロット($p),表示範囲の指示($d),ゼロ軸表示($z)について説明する.
なおプロットとは,横軸に時間ないしはケース番号をとり,縦軸に変量の値をとって描く折線グラフないしは棒グラフのことを指している.複数スケールで10変量までの多重プロットが可能である.xcampusのプロットの特徴は景気循環の局面把握を容易にする工夫にある.
本ページの書式例参照プログラムはWeb版xcampusの場合は各大学のWeb版のプログラム事例として収録され,クリック1つですぐに実行できる.Windows版の場合は,xcampusの[ファイル]メニューの[開く]をクリックして,xcampusの見本プログラム群の[rffmtprg]フォルダに収録されている.UNIX版xcampusの場合は,コマンド xccp を入力することによってプログラム一覧が表示される.
グラフ・セクションは
$$g |
で開始される.
変量分析($$v)で,変量記号を割り当てられたり,新規に作成された諸変量についてプロットを行う.
プロットには1形式のコマンドと,1形式のパラメータが用意されている.
プロット(plot)コマンドは次の形式をとる.
$p |
プロットを指示するパラメータは,上述の「$p」コマンドに続いて,次の形式で記述する.
書式($p in $$g)例1
書式($p in $$g)例1の出力結果
書式($p in $$g)例2
書式($p in $$g)例2の出力結果
1゜ 2゜ 1゜ 2゜ 1゜ 2゜ 1゜ 2゜
□‖□‖□‖□‖… |
ビジネス財務セクションの時系列作成の書式($t in $$b)例1 のグラフのプロット部分の再掲である.
グラフ・セクション($$g)の表示範囲($d)コマンドで全範囲を指示し,プロット($p)コマンドの後に,各変量のプロットを指示するプロット・パラメータを並べている.プロット・パラメータの変量記号間の「,」は別スケールの表示を意味する.
$$g //グラフセクション $d //表示範囲コマンド all //全期間 $p //プロットコマンド r //売上高原価率r r,xy //売上高原価率r,別スケールで売上高xと売上原価y u //総資本回転率u u,xz //総資本回転率u,別スケールで売上高xと総資本 r,u //売上高原価率r,別スケールで総資本回転率u |
変量分析セクションの回帰分析の書式($r in $$v)例1 のグラフのプロット部分の再掲である.
グラフ・セクション($$g)の表示範囲($d)コマンドで全範囲を指示し,プロット($p)コマンドの後に,各変量のプロットを指示するプロット・パラメータを3行並べている.プロット・パラメータの変量記号間の「,」は別スケールを意味する.その後に再度のプロット($p)コマンドで時差相関係数系列をプロットしているが,直前に表示範囲($d)コマンドがないので,これらの系列はデフォルトの100ケースのみがグラフ表示されることになる.
$$g //グラフセクション $d //表示範囲コマンド all //全ケース(期間) $p //プロットコマンド x,y //変量xと変量yを別スケールで XY //変量X,Yを同一スケールで Ynm //実績値と推定値n,mを同一スケールで $p //プロットコマンド QR //時差相関係数系列Q,R |
プロットに表示するデータ期間(ケース)についてデフォルトでは次のような制限を設けている.つまり,直前に表示範囲指定コマンドがないとき,自動的に,時系列の場合は最後の100期だけ,クロスセクションの場合は最初の100ケースだけの表示に制限されるのである.以下では,その表示制限を変更する方法を説明する.
表示範囲の変更には,1種類のコマンドと4種類のパラメータが用意されているが,本ガイドでは1種類のパラメータだけを説明する.
プロットの表示範囲の変更は,プロット($p)コマンドの直前に,表示範囲指定コマンドとそのパラメータを挿入しなければならない.その表示範囲指定は,その直後のプロット($p)コマンド内のプロットにのみ有効である.
表示範囲指定(display)コマンドは次の形式をとる.
$d |
表示範囲指定のパラメータは,上述の「$d」コマンドに続いて,4タイプの形式で記述するが,本ガイドではそのうちの1タイプのパラメータのみ紹介する.
all |
上述の書式($p in $$g)例2
のプログラムの再掲で,関連個所のみ記載している.元々は変量分析セクションの回帰分析の書式($r in $$v)例1 の再掲である.
グラフ・セクション($$v)の最初のプロット($p)コマンドの直前に,表示範囲($d)コマンドで全範囲を指示している.全範囲のプロット出力の結果については,書式($p in $$g)例2の3変量の同一スケールのプロット
を参照されたい.データ期間は100期を超えているけれども,全期間の表示がなされている.
$$g //グラフセクション $d //表示範囲コマンド all //全ケース(期間) $p //プロットコマンド x,y //変量xと変量yを別スケールで XY //変量X,Yを同一スケールで Ynm //実績値と推定値n,mを同一スケールで $p //プロットコマンド QR //時差相関係数系列Q,R |
プロットや散布図,3次元図においてゼロ軸を挿入する場合に用いる.一度指示されたゼロ軸表示の指定は,解除の指示がない限り当該グラフ・セクション内で効力を持ち続ける.ゼロ軸表示指定のない変量は,当然のことながらゼロ軸の表示はされない.
ゼロ軸(zero axis)表示について1形式のコマンドと2形式のパラメータが用意されている.
$z |
ゼロ軸表示パラメータは,上述の「$z」コマンドに続いて,次の2形式で記述する.
1゜
□□□…… |
ブランク行
<マクロ:完全失業率の移動勾配グラフ・1次元位相図>
日本経済データセクションの時系列($t)コマンドで,完全失業率を入力して変量名を x-variable
としている.完全失業率のMTコードの数字 066148
だけを適宜変更するだけで,他の部分は一切変更しなくても,マクロの任意の1系列の原データ,その移動平均,移動勾配の数値出力およびグラフ表示を行うことができる.
変量分析セクション($$v)の変量記号割当($a)コマンドで,原系列に1文字の変量記号xを割り当てている.変数変換($t)コマンドで,その移動平均a,移動勾配b,個体識別文字系列Pを作成し,プリント「pr*」オペランドでそれらの数値データを出力している.
グラフ・セクション($$g)のゼロ軸表示($z)コマンドで,移動勾配bのゼロ軸表示を指示し,表示範囲($d)コマンドで全範囲を指示している.プロット($p)コマンドで,原系列xとその移動平均aを同一スケールでプロットし,次に別スケールで移動勾配bを多重プロットする.最後に散布図($c)コマンドで,縦軸に移動勾配b,横軸に移動平均aをとり,散布点識別に文字系列変量Pを用いて,1次元位相図を描いている.この散布図にも,移動勾配bのゼロ軸表示の設定は有効である.
// g-z-f1.txt $$n //日本経済セクション $t //時系列入力コマンド UP@,x-variable //完全失業率(季調値)(MTコード066148),変量名を x-variale $l //入力変量リスト ================ コメント行 $$v //変量分析セクション $a //変量記号割当コマンド x,x-variable //変量名 x-variable に変量記号x $d //表示範囲コマンド all //全範囲 $t //変数変換コマンド a=<.a(x) //移動平均 b=<.d(x) //移動勾配 P=:ci(x) //個体識別文字列作成 △=pr*(x,a,b) //数値プリント(△はスペース1文字) =============== コメント行 $$g //グラフ・セクション $z //ゼロ軸表示コマンド b //移動勾配bのゼロ軸表示 $d //表示範囲コマンド all //全範囲 $p //プロット・コマンド xa //変量x,移動平均aを同一スケールで xa,b //変量x,aを同一スケール,移動勾配bを別スケールで $c //散布図コマンド (△はスペース1文字) b,a,△,P //縦軸b,横軸a,回帰線なし△,散布点印字P ======================= コメント行 $$ //終了セクション |
書式($z in $$g)例1のプログラム参照[g-z-f1.txt]